In Times

黒い・暗いメタルを主に。

Imber Luminis - Imber Aeternus

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ベルギー産アトモスフェリック/フューネラルドゥームメタルの2ndアルバム。2曲52分。

 

2曲とも26分、計52分という長尺だがそのランニングタイムをフルに活かした昇天必至なアトモスフェリックドゥームとなっている。

 

繰り返し繰り返される暗いアルペジオとその対比として高音のメロディックアセンショントレモロリフが奏でられもうこの時点で自分が死ぬのか生きていて良いのかさえわからなくなる。

そこに最低限のビートを刻むドラム、しかしそのドラムも急に堰を切ったかのように爆走しだし感情の振れ幅を最大限に表現。

極めつけはヴォーカル。寂しげにボソボソと呟いたりうあああああと呻いたりあああああああと泣き叫んだり、いやあもう聞いてるこっちも泣きたくなるよ。

キーボードも薄らとだが奏でられ、より寂しげでより美しい雰囲気に。

音質も程好くぼやけ霞がかかったようで、人生が暗中模索五里霧中といったところか。ちょっとよくわからない。

 

曲のどの部分を聞いても鬱でかつ美しく、まさしく癒死。

トータル52分だがもっともっと聞いて浸ってこの霧のなかに身を委ねていたくなる。

アトモスフェリックドゥームの傑作。

おすすめ。

 

Ihsahn - Arktis.

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ノルウェープログレッシヴ/ブラックメタルの6thアルバム。10曲48分。

 

ノルウェーブラックメタルの代表格、EmperorのフロントマンIhsahnのソロプロジェクト。

 

Emperorは非常に大好きなのだがソロとなってからはプログレッシヴ色が強いとの情報もあり全く手を出さず、実はこのアルバムが私のIhsahn(ソロ)の初体験。6枚目にしてやっとだ。

内容はと言うとやはりソロ始動時の評判通りプログレッシヴ色が強くそして、ブラックメタル色を残すのは怒気を孕むスクリームのみ。

だが他のジャンル、とくにクラシックを貪欲に吸収している彼ならではの独自性・芸術性の高い作品に仕上がっている。

 

ハードロック・ヘヴィメタル然とした刻みリフやリードギターが主ではあるが、時にグネグネとうねり独特の浮遊感を生み出しつつ知的さを存分に発揮する展開も見せる。

ドンドンと厚みのあるドラムも非常に迫力がある。メロディアスであったりヘヴィであったりと曲によって旋律は顔を変えるものの、ドラムのサポートもあり自然と頭が動くグルーヴ感を生み出している。

キーボードもインダストリアルっぽい無機質なものであったり北欧の夜空に輝くオーロラ想起させる美麗な旋律であったり、こちらも非常に多彩。

そしてやはりIhsahnの鬼気迫るヴォーカルは圧巻。Emperor時代からもそうだったが、このスクリームとセクシーなクリーンボイスとの対比はいつ聞いても素晴らしい。

 

Ihsahn名義初体験ではあるが、とんでもない名盤だと確信する。

ブラックメタルだとかプログレッシヴメタルだとかジャンル分けしようとするのも逡巡してしまうほどの、圧倒的なまでの芸術性。

曲によってインダストリアル、ハードロック、ヘヴィメタル、シンフォニックであったりと非常に多種多様、かつ聞いていても予知できない複雑怪奇な展開ながらしかし耳にスッと入り込んでくるメロディー。

買って聞かなければ損する。絶対に。

ラストトラックのCelestial Violenceを聞いて悶絶、涙してほしい。

 

 

Antaeus - Condemnation

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フランス産ブラックメタルの4thアルバム。9曲41分。

 

前作Blood Libelsから10年経過してのリリースだがサウンドのほうは何も変わらない、全てを薙ぎ倒し爆走しまくる暴虐なファストブラック。

前作では音質がかなり刺々しくノイジーだったが、今作はマイルドになっており(あくまで前作と比較してでありブラックメタルとしてみれば普遍的なプリミティブ具合)ギターリフ、メロディーを追いかけることもかなり容易。

だからといってこのバンドはよく例えられるフランス産ブラックメタルのようにねちっこかったり耽美なメロディーなどといったものは一切ないので、聞きやすくなったからといって・・・という感じではある。

しかし相変わらず冷たく獰猛で邪悪なギターリフはメロディアスの欠片もなく全く媚びる姿勢を見せないし、ほぼ常に疾走しているドラムもブラスト中に細かなオカズを挿みスピード感をよりアップさせる演出も欠かさない。

血反吐を吐きそうなヴォーカルも10年経っても何ら変わりなく、Kill You的なオーラを存分に惜しみなく放っている。

 

10年?だから?俺たちは何も変わらないぜ!という感じで良い意味で安心安定のAntaeusブランド。

日本人が好きそうないわゆるメロディアスでおどろおどろしいフランス産ブラックとは全く違う、邪悪ド直球なファストブラックではあるが速いのが好きなら聞いておいて損はないしむしろ聞いてほしい。

 

Watain - Lawless Darkness

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スウェーデンブラックメタルの4thアルバム。10曲73分。

 

初期はDissectionに影響を受けたであろうと思われるメロディックかつプリミティブなブラックで、前作にあたる3rdアルバムではそれらに呪術的なおどろおどろしさとロックンロールとすら感じられるリズムを導入し一躍ビッグに。

そして今作では前作からまたさらに発展、根本のメロディック+プリミティブはそのままに、より原初のブラックメタル、VenomやBathoryのようなスラッシュ要素をふんだんにミックスし突き抜けるような爽快感と躍動感を組み込んできた。

音質は少しシャリシャリとしているがブラックメタルとしては非常に良好、むしろ生々しく感じられプラス要素だ。

ふっと切り込んでくるリードギター、トレモロリフは寒々しくまた恐怖感を煽りまるでノルウェーブラックメタルを聞いているかのような錯覚にすら陥る。

また時折ギターソロも聞くことができ、こちらの魂を揺さぶるブラックメタルらしからぬ熱さでガッツポーズ必至。

基本は疾走のドラムだが、ブラストビートに頼りすぎることもなくスラッシュメタルのようなツタツタとした前屈みの疾走。テンポチェンジも巧く聞いていてまったく飽きない。

ヴォーカルも相変わらず邪悪な咆哮を上げている。喉を痛めつけそうなこの濁声ともデスヴォイスとも取れない、ちょうど良い塩梅の声は曲のダークな印象と非常にマッチしている。

 

4thアルバムということで、これまでのスタイルを昇華し見事に進化を遂げている。

ブラックメタルの邪悪なイメージをそのまま音にしたかのようなスタイルでとても好印象。

とくにラストトラック'Waters Of Ain'は珠玉の出来。

曲そのものも14分という長さながらまったくダレることのない展開。

そして後半に控える流麗なギターソロは圧巻の一言。ブラックメタルではありえない、ハードロック、ヘヴィメタルのような美しさを持つ。

これまでの邪悪な曲群もこのギターソロで全て浄化される、いやむしろそのためにこの曲があるのではないかとすら思えるほど。

 

間違いなくバンド最高傑作のアルバム。そして近年のブラックメタルでも大傑作のアルバム。

 

 

Alcest - Kodama

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フランス産ブラックメタルの5thアルバム。6曲42分。

 

私の求める暗く切なく攻撃的なAlcestが帰ってきた。

前作Shelterは1stアルバムSouvenirs D'un Autre Mondeをさらにシューゲイザー寄りにした作品で「ああ、Alcestは飛び立って行ってしまった・・・」等と思っていたが、今作は2ndアルバムÉcailles De Luneのような、いやそれ以上の、切なく甘くドリーミーそしてノスタルジーを感じる優しく柔らかいメロディーを持ちながらも随所で攻撃的な牙をむきながら、彼らが、帰ってきたのだ。

もはやお馴染みの「ジュワー」っとした淡くも輪郭のつかめないぼやけたギターリフ、ふっと切り込んでくる時に寒々しく時に懐かしさすら感じるトレモロリフ、ミドル~スローテンポを基調としながらも随所でブラストビートもはさむダイナミックなドラム、そしてメインソングライターNeigeのアンニュイなクリーンヴォーカルと耳を劈く絶叫ヴォーカル。

 

近い路線としてはやはり2ndアルバム。

前作のあの明るさがあったからこその今作であり、良い意味で対比が効いている。

個人的にブラックメタル要素が復活してくれたのはとても嬉しく思うし、そしてやはりAlcestはシューゲイザーブラックの開祖でかつ孤高であると知らしめた傑作。

 

余談ではあるがアルバムタイトルKodamaは日本語の木霊であり、Neigeも日本のことが好きなようで、かの「もののけ姫」へのインスピレーションを受けたそうで。

歌詞を読み解けばさらに理解が深まるのだろうがあいにく私にはわからない。

それでもジャケット・ブックレット等のアートワークも素晴らしく、それらも含めてこのAlcestのKodamaという作品の幻想的な世界にどっぷりと浸れることには間違いない。

 

文句なしの傑作。

他の追随を許さない、この美しく儚い夢物語は唯一無二。

Hate Forest - Purity

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ウクライナブラックメタルの2ndアルバム。7曲44分。画像は再発盤のジャケット。

 

どこまでもドス黒く破滅的でメロディックの欠片もない轟音リフ、疾走中心でかつバチバチドカドカと無機質な打ち込みドラム。

そしてここで大きく好みが分かれるであろう、デスメタルのような野太い咆哮系ヴォーカル。

やはりブラックメタルだから・・・と高音の金切り声のようなヴォーカルのほうが好みの割合は多いのかもしれないが、バンド名であるHate Forestという名に恥じない、怨嗟しかないこのヴォーカルのほうが個人的には合っていると思う。

3曲目と5曲目に10分超の曲があるがスローテンポでじっくりと聞かせるパートもあるためか、よりHate Forestという恨み辛みを感じることができる。

 

目の前にある全てのものを薙ぎ倒し飲み込まんと突き進む様は非常に荒々しく猛々しく、そしてどうしようもなくカッコいい。

唯一無二のサウンド。

好みは分かれるが聞いておいて損は無い。そしてあわよくば、どっぷりとこの憎しみに身を委ねてほしい。

Wolfshade - Trouble

 

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フランス産ブラックメタルの2ndアルバム。5曲50分。

 

フランス産らしい甘く耽美なリードギターと陰鬱なアルペジオを絡めつつスロー~ミドルテンポでゆったり進む。

また時にバスドラムの連打を入れアグレッシヴさを演出。

遠くからエフェクトがかかったような、すすり泣く絶叫ヴォーカルが聞こえ、よりデプレッシヴさをプラス。

 

ヴォーカルこそ悲痛ではあるが、全体的に見るとそこまで痛ましくないデプレッシヴブラックであり、どちらかというとフランス産独特の耽美さ儚さを前面に推しだしている作風。

ザラザラとした暗いアルペジオをバックに、ふっと美しいリードギターが切り込んでくる様はまさに悶絶もの。

浸れるし、かつ浄化される。

 

リリースは2008年だが、個人的には今でも重宝し聞いているアルバム。

 とても素晴らしい、是非とも買って聞いて悶絶しいてほしい。